企業の成長を支える「健康経営」-戦略的な健康支援のススメ-

「健康経営」という言葉をご存じでしょうか。
働き方改革が進む中、労働環境だけでなく、従業員の健康維持・増進に企業が積極的に取り組む「健康経営」は、今や企業経営の必須要素です。企業が従業員の健康を守ることは、福利厚生に留まらず、生産性や企業価値の向上にも直結します。
本記事では、「健康経営とは何か」「なぜ今、健康経営なのか」また、近年特に重要視される「歯科保健」との関係性を企業・健康保険組合の担当者さま向けに、わかりやすくご紹介します。
なぜ今、企業に「健康経営」が求められるのか
「健康経営」とは、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、戦略的に健康増進に取り組む経営手法です。現在、人手不足や慢性疾患の増加により、心身の健康だけでなく歯科保健や職場環境改善など、多面的なアプローチが求められています。従業員の健康維持・増進を支援することで、生産性の向上や医療費の抑制、離職率の低下などが期待でき、企業価値の向上にもつながります。
健康経営取り組みの基本的な考え方
健康経営は、従業員の健康管理を「コスト」と捉えるのではなく、将来的な収益性や人材定着率向上を支える「経営資源」として位置付けることが重要です。
そして、健康経営には、「従業員の活力・生産性向上」「企業イメージ・ブランド力の向上」など、企業と従業員双方にメリットのある持続可能な成長戦略です。

健康経営優良法人とは
健康経営は、経済産業省と日本健康会議が推進しており、「健康経営優良法人認定制度(ホワイト500など)」を通じて先進的な取り組みを行う企業が評価されます。この制度は、特に優れた健康経営を実践する大企業や中小企業を認定するもので、大規模法人部門と中小規模法人部門の2つに分かれています。認定されることで、自治体や金融機関からのインセンティブなど、さまざまなメリットが得られます。
※参考:【経済産業省】健康経営優良法人認定制度
健康経営優良法人の認定要件
- 経営理念・方針
- 組織体制
- 制度・施策実行
- 評価・改善
- 法令遵守・リスクマネジメント
参考:【ACTION!健康経営】健康経営優良法人2025(大規模法人部門)認定要件
【ACTION!健康経営】健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件
健康経営推進を支える「歯科保健」「オーラルケア」
健康経営では、これまで口腔環境へのアプローチが見過ごされがちでした。しかし近年、歯周病と糖尿病や心疾患、認知症などの全身疾患との関連性の研究が進み、歯科保健の重要性が高まっています。
特に歯周病は、糖尿病や心疾患などのリスクを高めるだけでなく、集中力や認知機能にも影響を与える可能性があります。ある企業では、従業員の歯科健診や歯科衛生士によるブラッシング指導を実施した結果、歯周病罹患率が低下し、医療費削減や生産性の向上が報告されています。
全身の健康と口腔環境の密接な関係
口腔内の健康状態は、以下のように全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
- 感染症リスクの増加
- 糖尿病の悪化
- 心疾患リスクの増加
- 呼吸器疾患リスクの増加
- 妊娠への影響

これは、口腔内の炎症性物質が血流を通じて全身に運ばれ、各臓器に影響を及ぼすためです。
健康経営を推進するうえで、従業員のオーラルケアの促進は全身の健康維持につながります。
企業が歯科保健を導入するメリット
健康経営では、特定の病気やライフステージだけに着目するのではなく、全身の健康維持を目指す包括的な視点が必要です。歯科保健を含むオーラルケアは、その一部として重要な役割を担い、従業員の健康リスクを未然に防ぎ、企業全体のパフォーマンス維持に貢献します。
企業が歯科保健を導入するメリットをいくつかご紹介します。
生産性・従業員満足度への効果
生産性の低下には、集中力や注意力の低下、睡眠の質の低下、ストレスの増加、コミュニケーション不足などが関係しています。
また、歯科疾患も大きな要因の一つです。歯科疾患の改善によって、従業員が積極的に業務へ取り組めるようになり、組織全体の生産性向上につながります。
離職・欠勤リスク低減への寄与
口腔内の健康状態は全身の健康と密接に関わり、歯科疾患は糖尿病や心疾患などの生活習慣病を悪化させるリスクがあります。企業が歯科保健を導入することで、従業員の口腔衛生に対する意識が向上し、結果として離職・欠勤リスク低減に寄与します。
企業イメージや採用力の向上
従業員の健康を重視する企業文化は、求職者にとっても魅力的な要素となり、優秀な人材の確保や定着につながります。また、企業ブランドの向上や投資家からの評価にも良い影響をもたらします。
歯科保健導入の事例と実践ステップ
企業による健康経営の取り組みは多岐にわたりますが、まずは以下の施策から着手することが効果的です。
- 健康診断とフォローアップ
- メンタルヘルス対策としてのストレスチェック
- 運動促進の社内イベント(ウォーキングラリーなど)
- 食生活改善支援(社食改善、栄養指導)
- 睡眠や禁煙などに関する教育セミナー
これらは、既存の福利厚生制度を活用して導入しやすい分野です。

また、これらに加え、歯科保健は導入コストが比較的低く、全社的に広まりやすい施策でありながら、従業員満足度の向上にもつながりやすいです。例えば、当社(株式会社ハミエル)では、以下のような取り組みが可能です。
- 歯科健診(年1回)の実施支援
- 歯科衛生士によるオーラルケアセミナー
- 歯科健診の受診勧奨やオーラルケア用品の配布
- オンライン歯科問診
- オンライン歯科面談(相談)
- 郵送型歯周病検査
導入の流れ
歯科保健導入の流れは企業ごとに異なりますが、当社では一般的には次のステップを踏みます。
段階的な取り組みにより、従業員の健康意識や行動変容が促進され、企業全体の健康レベルや生産性の向上が期待できます。
- 現状の把握と課題の明確化
- 計画策定と目標設定
- 従業員への周知と理解促進
- プログラムの実施と効果測定
- 改善と継続的な取り組み

導入企業の成功事例やデータ
健康経営における歯科保健導入は、企業の成功に大きく貢献します。これらの効果は数値面だけでなく、モチベーションの向上や組織全体の活性化にもつながっています。
ハミエルでは、これまでの歯科保健事業導入により、成功したお客さまのお声を掲載しています。
これからの健康経営には「歯科保健」の視点を
これからの健康経営には、全身の健康を支える「歯科保健」の視点は不可欠です。歯の健康を守ることは、従業員の生活の質(QOL)向上、医療費の抑制、さらには企業イメージ・ブランド力向上にもつながります。
企業の成長と従業員の幸せを両立させる「戦略的健康経営」の実現に向けて、今こそ歯科保健の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。